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珈琲記

敬愛するコーヒー研究家、井上誠氏の著書より題を借り、私もここに、私が愛したコーヒーを記そうと思う。

Chapter16. 神の門

■太陽の雄の子牛 紀元前は18世紀、神の門と名を冠した都市が存在したという。 ひろくユーフラテスの川を跨ぎ繁栄したとされるその都市は、「バビロン」といった。 古代メソポタミアの神話に、「マルドゥク」という男神が描かれている。 マルドゥクは木星を守…

Chapter15.アルミニアの面影

■ロイヤルコペンハーゲン史に思いを馳せて 皆が思い浮かべる北欧の食器といえば、まずおそらくは出てくるロイヤルコペンハーゲン。この窯は現在も洋食器のなかで強い人気を誇るブランド窯のひとつで、控えめで素朴な王冠のかわいらしいロゴが特徴だ。 王冠(…

Chapter14.時代をこえて

■はじめに ブログを完全に横着し、いつものように更新が行われなくなってからしばらくの時間が過ぎたが、僕はなんとかこうして生きている。 気がつくと自身の職業が変わっていたりして、それでもコーヒーに生き、器越しに様々なもの・ことに思いを馳せて、大…

Chapter.13 - 華と彩

先日、Twitterのフォロワーである @minton_music 氏に、彼が行きつけの喫茶店だという店の豆をぜひ飲んで感想がほしい!と言われ、実際に豆を送ってくれたので、今回はそのコーヒーについて、レビューとまで呼べないような個人的感想を述べていこうと思う。 …

Chapter.12 - 遺す

時間というものは有限で、また過れば二度として戻ってくるものではない。 ゆえに何らかの方法で記し、あるいは遺すことで、その一瞬を可能な限り引き延ばすのである。 今回もコーヒーというより、カメラの話になりそうだ。 - 私の勤める某店にて。Nikon F3P …

Chapter.11 - 調和

2015年4月10日、ひとつの喫茶店が静かに幕を下ろした。 僅か数年の営業で、更にようやっとこれからという時であった。 その1杯はすっきりと洗練されていて、柔らかく調和のとれた液体が喉を、そして疲れてささくれた心をも癒してくれる。 きの珈琲。 それが…

Chapter.10 - 記す

Picture.1 - Blue Flower / RCP 最近、趣味が増えた。それは写真を撮ることである。 母方の父が使っていたカメラを譲り受け、気まぐれにもウン万円をかけて整備した挙句レンズまで買いそろえ(かつTwitterのフォロワー各位からお恵みーー即ちバッグとかフィ…

Chapter.9 - 誕生日

私がこの世に生を受けてから、今日で22年が経つことになる。 Twitterにおいては私を22歳と信じない人も多いが、私は正真正銘の平成5年生まれであって、まだまだこれからの人間である。自分で言うことでもないかもしれない。 このコーヒーという液体に惚れて…

Chapter.8 - 2014~ゆくとし、くるとし

このブログの本来の目的に即して、僕の変化の一年であった本年を珈琲とともに振り返ってみることとする。 北海道で勤めていた某喫茶店で、日に百何十杯という珈琲を落とし続け、珈琲の何たるかを考え、そして私は、それが暫くの間続くものだと思っていた。 P…

Chapter.7 - "基礎"

どのような物事においても、基礎や基本といった、所謂物事の根幹であって、そのもの自体をシンプルに体する「何かしら」というのは、肝要なものである。 そのものについての本質を常に問い、その本質を常に土台に晒している。 そしてそれは鏡であって、常に…

Chapter.6 - 本質

珈琲は、即ち嗜好品である。 その純粋な飲み物の素性については、以前の投稿でも書いてきたし、僕の敬愛する井上氏も、たとえば、 「珈琲の持つ滑らかな、そして何処か多感な肌合い。その眼に映る濃い色は、決して黒でもなく、また茶褐でもなく、金と赤との…

Chapter.5 - はじまり

私はそれまで、コーヒーというものにあまり縁がなかった。 どちらかというと洒落と道楽で飲んでいるイメージしかなかったし、もともとコンピュータを弄るのが好きだった私は、その界隈でよく飲まれていたエナジードリンクといったたぐいのものを好んで飲んで…

Chapter.4 - 記憶

ナルミ食器の「シャグリーン」というコーヒーカップがある。 白磁と黒と銀彩は美しく、そのソーサーは独特な触り心地である。 エスプレッソカップと呼ばれるサイズと、汎用の大きいサイズとがあって、"彼"はよくその大きなカップでもって、フルシティに焙煎…

Chapter.3 - 我真

コーヒーという飲物は、ただの液体ではない。 その液体として完成し、提供されるまでのコーヒーとしての歴史を、すべて清純に映し出す。 そのコーヒーができるまでのどの過程においても、携わる人たちが素直に反映されるのであって、例えば焦りや怒りに支配…

Chapter.2 - 喫茶店という場所

多様な場所に多様なかたちで、その居を構える喫茶店。 土地柄や地域のニーズによって求められるものは違えど、携わっているひとびとの、その根幹には常に「佳いものを提供する心」があってほしいものである。 なんていうのは、なかなかどうして難しいもので…

Chapter.1 - 琥珀色の鏡

寝覚めの一杯は、深煎りの豆を使って濃厚に抽出したコーヒーに、あたためたミルクを同量割り入れ、バターをたっぷりと塗った、芳醇なかおりのクロワッサンなんかとともにいただく――。 フランスの「カフェ・オ・レ」なんかはこうして嗜まれているが、コーヒー…

Chapter.0 - 珈琲記

昭和のコーヒー研究家 井上誠氏は、その著書『珈琲記(昭和25年.ジープ社)』の書きはじめに、こう記している。 「珈琲という飲物への思慕、などといえば、大袈裟に聞こえるでしょう。しかし、それはただ単に珈琲マニヤだけが陥る世迷言だとは思われない本然の…