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珈琲記

敬愛するコーヒー研究家、井上誠氏の著書より題を借り、私もここに、私が愛したコーヒーを記そうと思う。

Chapter16. 神の門

■太陽の雄の子牛

紀元前は18世紀、神の門と名を冠した都市が存在したという。

ひろくユーフラテスの川を跨ぎ繁栄したとされるその都市は、「バビロン」といった。

 

古代メソポタミアの神話に、「マルドゥク」という男神が描かれている。

マルドゥク木星を守護する神であり、太陽の神であり、また呪術に祀られる神であり、そのほかにもさまざまなもの・ことにまつわる神であった。

その容姿も多様であり、ゆえに禍々しいといわれている。

 

マルドゥクは「バビロン」という都市の神とされ、彼への信仰で平和と豊穣を得るとされた。

 

■平和の象徴

私が好きなWedgwoodは、器の柄を描く際に何かテーマを決めないと気が済まないらしく、それは100年前も、50年前も、30年前もそうだし、現代もそうらしい。

 

Wedgwoodの「バビロン」は1970年代から80年代に作られたが、その特徴的な色合いとエキゾチックな雰囲気で、日本で大人気のうちに廃盤となった。

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 ・ Wedgwood Babylon - ターコイズカラーと翠色が美しいこの器は、大変な人気であった。

 

インターネットの台頭により、廃盤品が流通しやすくなった現在でも在庫はなかなか出てこない。

 

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 ・鳥の顔が間抜け。

 

バビロンの鳥は平和の象徴とされた。

この器に平和の願掛けをするのも一興、日本の八百万の神マルドゥクが含まれているとは思えないが、そこはさしたる問題ではない。

 

■オチはない

なかなか手に入らない器なので、入手報告というだけだったのだが、ただ書くだけだと面白くないので、器の名前の由来をおさらいした次第だ。

 

この器で深煎りのコーヒーを飲みながら、かつて栄華を極めたというメソポタミアの都市に思いを馳せる――太陽の神には申し訳ないが、そんな夜もあっていいだろう。

 

なお、呪術の供物にはしないよう、くれぐれも注意したい。